抄録
我々はこれまでにO. brevisの重金属イオン応答性遺伝子（bxa1, bmtA, bxmR）を単離・同定してきた。今回、CPx-ATPaseをコードするbxa1について、酵母形質転換体を用いて重金属ストレスに対する機能解析を行った。
まず、bxa1挿入株とベクター挿入株（コントロール株）を用いて、Cu, Co, Zn, Cd等の重金属に対する感受性試験を行った。その結果、bxa1挿入株は、コントロール株に比べ液体・寒天培地の両方でCdに対してのみ感受性になった。
次に、これまでに各種重金属に対して感受性を示すとされる遺伝子欠損突然変異株を用いたCdに対する感受性試験では、新たにCd感受性株を見出した（Fe輸送体欠損‹smf3-›株とCd輸送体欠損‹ycf1-›株）。さらに、これらのCd感受性株にbxa1を挿入した形質転換体を用いて試験を行ったところ、bxa1挿入株は、各々の変異を補完せず、コントロール株よりもさらに感受性を示した。また、bxa1を過剰発現させた株は生育自体が著しく阻害された。今回の実験で使用した全ての株は、液胞の金属輸送体変異株であることから、bxa1を挿入した株では、細胞質にさらにCdが過剰に蓄積するために生育が一段と阻害されると考えられた。
現在、Bxa1の酵母細胞内での局在性を明らかにするために、GFPとの融合遺伝子を持つ酵母を作成中である。
