日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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酵母に発現させたシロイヌナズナ液胞膜Zn2+輸送体AtMTP1の機能解析
*河内 美樹小八重 善裕前島 正義
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p. 524

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抄録
Cation diffusion facilitator (CDF) ファミリーの一つである、Arabidopsis thalianametal tolerance protein 1 (AtMTP1、43kDa)は、液胞膜に局在し、過剰亜鉛の毒性回避に重要であることを既に我々が報告している。しかしその輸送機構については不明である。これを明らかにするために、液胞の亜鉛輸送機能を欠失した酵母変異株(亜鉛感受性株,Δzrc1cot1)へAtMTP1を異種発現させて機能相補実験を行った。AtMTP1の発現により亜鉛耐性が回復し、AtMTP1が亜鉛を液胞へ輸送する機能を発揮していることが強く示唆された。さらに、蛍光亜鉛プローブを用いて細胞内亜鉛濃度を解析したところ、亜鉛感受性株Δzrc1cot1では液胞への亜鉛輸送が見られないが、AtMTP1導入株AtMTP1/zrc1cot1では液胞への亜鉛蓄積が明確に観察された。また、AtMTP1のプロモーターにGUS遺伝子を結合したコンストラクトをA. thalianaに導入した形質転換体の解析から、AtMTP1は成長中の組織で強く発現していることが明らかとなった。GFPとの融合タンパク発現実験からも同様の結果が得られた。これらの結果から、AtMTP1は成長過程にある細胞において、過剰亜鉛を液胞へ輸送・蓄積する働きをしているものと思われる。
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© 2006 日本植物生理学会
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