日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単一細胞顕微蛍光分光法によるC4植物組織の網羅的解析
*磯村 裕介杉浦 花菜柴田 穣伊藤 繁
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p. 555

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抄録
C3植物であるホウレンソウの研究では、葉内の光環境に合わせてPSI/IIの量や活性が変化することが知られている。細胞の周辺環境に応じた変化は、C4植物でも同様に起こると考えられる。NADP-ME型C4植物であるエノコログサの葉および茎の切片を作成し、細胞ごとの蛍光スペクトルを高空間分解能顕微分光法によって常温および液体窒素温度で測定した。この装置は共焦点レーザー顕微鏡の検出部に分光器を配置したものであり、その空間分解能は0.3 μm、波長分解能は1 nmで、1細胞・1葉緑体ごとのin vivoスペクトル測定が可能である。また液体窒素温度に冷却することにより詳細にPSI、IIの蛍光スペクトルを解析できる。酵素処理で分離した細胞を測定するという従来の方法では分からなかった細胞ごとのゆらぎに関する情報がこの方法では得られ、細胞内、葉の表側・裏側、葉の先端・元、葉と茎、等様々な部位で蛍光スペクトルを測定し、PSI/IIの蛍光強度比の分布とそのゆらぎを得た。維管束鞘細胞と葉肉細胞は各々大きく異なったPSI/II比を示した。たとえば液体窒素温度では葉肉細胞は維管束鞘細胞の約6.6 倍PSIIの蛍光が強かった。これらのことから細胞の周辺環境とPSI・PSIIの量比についての関係を議論した。
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© 2006 日本植物生理学会
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