日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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紅色光合成細菌Rubrivivax gelatinosusの環状カロテノイド蓄積変異株作成とその酸化障害耐性評価
*鍋田 誠原田 二朗高市 真一三沢 典彦永島 賢治松浦 克美嶋田 敬三
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p. 571

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抄録
光合成生物においてカロテノイドは光捕集や光酸化障害防止などに働くが、その構造と機能の関係は十分には解明されていない。我々は紅色光合成細菌Rubrivivax gelatinosusを用いて直鎖型カロテノイドの生体内における機能比較を行い、さらに環状カロテノイドと直鎖型カロテノイドの機能的な差違を調べるために、Β-カロテン蓄積株を作成した。今回さらに、多くの種類で機能的な差異を調べるため、Β-カロテン誘導体の蓄積株を作成した。
Β-カロテン蓄積株にParacoccus sp. N81106(Agrobacterium aurantiacum)のΒ-カロテン水酸化酵素(crtZ)、Β-カロテンケト化酵素(crtW)、を導入することで、ゼアキサンチン蓄積株、カンタキサンチン蓄積株、アスタキサンチン蓄積株を作成した。
色素分析の結果、培養条件によって最終産物の生産量は異なるものの、目的のカロテノイドを産生していることが確認できた。さらに、光合成色素タンパク複合体にもこれらの環状カロテノイドが結合していた。弱光下での生育速度が野生株とあまり変わらなかったことから、環状カロテノイドも捕集色素として機能していることが示唆された。一重項酸素耐性を調べた限りでは、いくつかの強い耐性を示す直鎖状カロテノイドの蓄積株に比べて環状カロテノイド蓄積株は特に強くはなかった。
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© 2006 日本植物生理学会
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