日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

大腸菌で発現させた緑色硫黄細菌 Chlorobium tepidum の鉄硫黄クラスターアッセンブリーファクターの性質
*高林 佑介井上 和仁
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 572

詳細
抄録
窒素固定細菌 Azotobacter vinelandii では、鉄硫黄クラスターのアッセンブリーに関与するいくつかの因子が同定されている。このうち、ニトロゲナーゼのアッセンブリーに関与すると考えられている NifU は、N 末側ドメイン、中央ドメイン、C 末側ドメインの3つのドメインから成る。また、NifU の N 末側ドメインと高い相同性を持つ IscU も存在する。緑色硫黄細菌 Chlorobium tepidum は鉄硫黄型反応中心を持つ嫌気性光合成細菌で、ニトロゲナーゼを持ち窒素固定能も有する。既に全配列の決定が完了した C. tepidum のゲノム上には iscU のホモログ CT1994 が存在するが、A. vinelandiiiscU とは異なり、nifU の N 末側ドメインに加えて中央ドメインも有する。また、CT1994 とは離れたゲノム上に存在する CT1786 は、A. vinelandiinifU の C 末側ドメインのみを有する。今回、我々は C. tepidum における鉄硫黄クラスターアッセンブリー過程を明らかにするために、C. tepidum の CT1994 と CT1786、さらに CT1994 の2つの各ドメインを、それぞれ大腸菌で発現させ、その性質を調べた。精製した CT1994(IscU)はホモダイマーを形成し、吸収スペクトルの特徴や液体ヘリウム温度下での ESR 測定から、既に IscU 自身が [2Fe-2S] クラスターを結合していることが示唆された。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top