日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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スギの花芽で発現するMADS-box遺伝子の機能解析
*栗田 学大宮 泰徳渡辺 敦史谷口 亨坪村 美代子近藤 禎二
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p. 606

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抄録
スギ(Cryptomeria japonica D. Don)は、わが国の主要な造林樹種であり、内装材や構造材として広く利用されてきた。遺伝子組換え技術による特定形質の付与は、社会からより求められるスギ品種の作出を実現する可能性を有する。しかし組換え体の実用化にあたり、導入遺伝子の同種・近縁の野生植物への拡散が懸念されている。その媒体となるのが花粉であるが、花粉形成を阻害できればそのリスクが軽減されるとともに、花粉症問題の緩和にもつながる。このような効果をもつ組換え無花粉スギの作出を見据えて、スギにおける花芽形成の分子メカニズムの解明に取り組むこととした。
花芽形成遺伝子としてMADS-box遺伝子が知られている。我々はスギの雄花から6種類のMADS-box遺伝子を単離した。推測されるアミノ酸配列を用い、BLASTで相同性検索を行った結果、タバコのB機能遺伝子GLOBOSAと高い相同性を示すもの(M8)が含まれていた。さらにこれら遺伝子の発現組織及び発現時期を調べるためにRT-PCRを行った。その結果、M8遺伝子は花芽特異的に強く発現しており、その発現は雄花の形態形成に伴って活性化することが明らかになった。現在、単離した遺伝子のより詳細な機能解析を行うためin situ ハイブリダイゼーション等の実験に取り組んでいる。
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© 2006 日本植物生理学会
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