日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体シグマ因子二重変異体(sig2sig6)はアルビノになる
*石崎 陽子尾園 加奈子竹中 智佳子角山 雄一中平 洋一田中 寛金丸 研吾華岡 光正椎名 隆
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p. 653

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抄録
植物色素体では原核型のRNAポリメラーゼ(PEP)が機能しており、おもに色素体コードの光合成遺伝子を転写する。真性細菌のRNAポリメラーゼと同様にPEPは活性部分のコア酵素とプロモータ認識に必須のシグマ因子とからなり、シグマ因子の交換によって発現遺伝子群を一括して変換すると考えられる。シロイヌナズナの場合、核ゲノムに6個のシグマ因子遺伝子がコードされている。これら6個のシグマ因子は色素体ゲノムの転写において適宜機能分担していると考えられ、それぞれの遺伝子欠損株で色素体遺伝子の転写パターンに特徴的な違いが報告されている。本研究ではシグマ因子遺伝子多重欠損株、およびAtSIG6欠損株に他のシグマ因子を異所的に過剰発現させた変異体を作製し、シグマ因子の機能分担の詳細を明らかにすることを目指している。これまでにsig2sig6二重欠損株がアルビノの表現型を示すこととsig6-1に対するAtSIG1過剰発現株が sig6-1と同様の表現型を示すことを確認した。以前の報告より、AtSig2は色素体tRNA遺伝子の転写に、AtSig6は発芽後初期の実生でのPEP依存遺伝子の転写に重要である。sig2sig6二重変異体ではそれ以外にpsbBオペロンの転写が大きく損なわれていることがわかった。以上の結果は,AtSig2とAtSig6が葉緑体で主要な働きをしているシグマ因子であることを示唆している。
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© 2006 日本植物生理学会
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