日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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発芽期や登熟期の種子で高発現するオオムギタンパク質(P23k)の細胞内局在
*及川 愛木藤 新一郎
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p. 682

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抄録
我々は、吸水したオオムギ種子の胚盤で高発現する23kDaのタンパク質(P23k)を同定し解析を行っている。現在までに、P23kは登熟期の種子でも高発現しており、その局在は維管束や糊粉層であることを明らかにしている(第46回大会)。これらの結果は、P23kが発芽や登熟に関連した種子機能に重要な役割を担っていることを示唆している。そこで本研究では、P23kの更なる機能推定を目的にP23kの細胞内局在解析を行った。
まず、細胞分画法を利用してP23kの局在解析を試みた。実験材料には、P23kが高発現している吸水種子の胚盤を用いた。胚乳を除去した胚盤を穏やかに破砕し、スクロース密度勾配遠心法を利用して細胞内小器官を分画した。次に、それぞれの画分をSDS-PAGEに供し、P23Kの特異的抗体を用いてウエスタン解析を行った。その結果、P23Kが存在する画分は、小胞体マーカーであるチトクロームC還元酵素の活性が認められる画分と完全に一致した。次に、間接蛍光抗体法を利用して、上記組織の細胞内におけるP23Kの局在を観察した。結果は、細胞分画法と同様にP23kが小胞体に局在することを示唆していた。以上の結果から、P23Kは小胞体局在タンパク質であると考えられる。現在、更なる解析を進めており、本発表では得られた結果を総合してP23kの種子における機能について考察する。
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© 2006 日本植物生理学会
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