日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物ステロール C-22 位不飽和化酵素 (CYP710A) の同定と酵素学的解析
*青木 望森川 智美渡辺 文太齋藤 茂樹太田 大策坂田 完三水谷 正治
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p. 685

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抄録
スチグマステロールは側鎖 C-22 位不飽和結合を持つ植物の主要なステロールであり、シトステロールのC-22 位不飽和化により生合成されるが、この反応を触媒する酵素遺伝子は今まで不明であった。酵母では、シトクロム P450 (CYP61) がステロール C-22 位不飽和化反応を行う事が既に知られている。 そこで、CYP61と植物 P450 のアミノ酸一次配列の比較を行ったところ、CYP710A が最も高い相同性 (28%) を持つ事がわかった。我々は CYP710A がC-22 位不飽和化反応を触媒すると考え、in vitro での機能解析を行った。昆虫細胞-バキュロウイルス発現系を用いて作製した組換え CYP710A はシトステロールからスチグマステロールへの C-22 位不飽和化活性を示した。一方、アブラナ科植物に特有のブラシカステロールも 24-epi-カンペステロールの側鎖不飽和化により生成すると考えられる。そこで、シロイヌナズナの CYP710A1~A4 について基質特異性を解析したところ、C-24 位のアルキル基 (メチルあるいはエチル) とその立体配置の違いにより不飽和化活性は大きく異なった。以上の結果より、CYP710A はステロール C-22 位不飽和化酵素であることが明らかとなり、植物ステロール組成は CYP710A の厳密な基質認識により制御されていることが示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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