抄録
植物の光屈性反応は一般的に青色光によって誘導され、その光受容体はフォトトロピンである。多くのシダ植物の原糸体細胞では青色光だけでなく赤色光も光屈性に有効である。ホウライシダでは赤色光による光屈性反応は、フィトクロムの色素団結合部位とフォトトロピンが融合したキメラ光受容体フィトクロム3によって制御されている。我々は最近ホウライシダの胞子発芽時に最初に出現する仮根が負の光屈性を示すことを発見し解析を行った。寒天培地上に播かれた胞子に赤色光を一方向から照射し、発芽を誘導すると、仮根が出現する部位はランダムなのに対して発芽後4日目の仮根は光源とは反対方向に伸長しているものが多く見られた。そこで微光束照射による詳細な解析を行った。暗順応させた原糸体の先端部分40μmの片側に赤色微光束を照射すると仮根細胞の先端は光照射部位と反対方向へ屈曲した。フィトクロム3遺伝子の変異体であるrap変異体に同様な光照射を行った結果、仮根細胞の負の光屈性が失われていた。このことは原糸体細胞で正の光屈性の光受容体であるフィトクロム3が仮根では負の光屈性の光受容体として使われていることを示している。