日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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孔辺細胞青色光情報伝達におけるプロテインホスファターゼ1の関与
*武宮 淳史木下 俊則淺沼 三和子島崎 研一郎
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p. 732

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抄録
青色光受容体であるフォトトロピンは細胞膜H+-ATPaseの活性化をおこない、気孔開口を誘導する。しかしながら、フォトトロピンからH+-ATPaseに至る情報伝達については不明である。本研究では、孔辺細胞青色光情報伝達におけるプロテインホスファターゼ1(PP1)の関与を報告する。脱リン酸化活性を欠いたPP1触媒サブユニット変異体やPP1特異的阻害性タンパク質であるインヒビター2をソラマメ孔辺細胞に一過的に発現させると、青色光に依存した気孔開口が阻害された。一方、これらを発現する細胞では、H+-ATPaseの活性化剤であるフシコクシンに依存した気孔開口は正常にみられた。また、膜透過性のPP1阻害剤であるトートマイシンを処理した表皮や孔辺細胞プロトプラストでは、青色光に依存した気孔開口や気孔開口の駆動力となるH+放出が阻害された。さらに、トートマイシンを添加した孔辺細胞プロトプラストでは、青色光によるフォトトロピンの自己リン酸化は影響を受けず、H+-ATPaseの活性化に必要なこの酵素のリン酸化が特異的に阻害された。これらの結果は、PP1が孔辺細胞青色光情報伝達においてフォトトロピンの下流、かつH+-ATPaseの上流でポジティブなレギュレーターとして機能していることを示している。
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© 2006 日本植物生理学会
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