抄録
インゲンマメは青色光に応答して葉面を光源に向ける。この運動には、葉身の根元にある葉枕が重要な役割を果たしている。これまでに、葉枕を構成する運動細胞において細胞膜H+-ATPaseが青色光で不活性化され、それにより運動細胞の膨圧が低下し、葉の運動が誘導されることが分かっている。しかし、この反応の駆動力を形成するH+-ATPaseの生化学的解析はほとんど行われていない。また、この反応を引き起こす青色光受容体も不明である。本研究では、葉枕を用いて葉の運動の初期過程における、H+-ATPaseとphototropinの機能に関して生化学的に解析した。暗黒下ではphototropinは脱リン酸化状態で、H+-ATPaseはリン酸化状態で存在していた。そこに30秒の青色光パルスを照射すると、phototropinがリン酸化され、続いてH+-ATPaseが徐々に脱リン酸化された。また、両者のリン酸化と脱リン酸化は同じ青色光強度依存性を示した。さらに、葉枕にSer/Thrキナーゼ阻害剤K-252aとフラビン結合性蛋白質阻害剤DPIを処理すると、phototropinのリン酸化とH+-ATPaseの脱リン酸化が同程度に阻害された。以上の結果は、phototropinがH+-ATPaseの上流で青色光受容体として機能し、C末端の脱リン酸化によりH+-ATPaseの活性を低下させていることを示している。