抄録
私達はモデルマメ科植物ミヤコグサを用いてアクティベーションタギングを行い、共生窒素固定根粒形成に関わる新たな遺伝子を単離しようと試みた。根粒形成ができないcastor変異体を材料にして毛状根形質転換法により6回縦列35Sエンハンサーをランダムに導入したアクティベーションタグラインを約4,000ライン作成し、それらの根粒形成能を調べた。その結果、根粒を形成した形質転換体が8個体あり、このうち1つの毛状根にタグが挿入されていた。TAIR-PCRおよびinverse PCRを用いてタグ近傍配列を単離・解析したところ、転写因子をコードしていると思われる配列が見出された。このDNA断片をプローブにしてcDNAライブラリーのスクリーニングを行った結果、転写因子の保存配列を含む全長クローンを得た。この遺伝子を暫定的にTOPAZ (tag-associated object in putative activation zone)と名付けた。TOPAZプロモーター-GUSコンストラクトを導入した根は、根粒基部、側根基部および根端において高いプロモーター活性を示した。これによりTOPAZが根粒形成に関わる遺伝子であることが示唆された。TOPAZ機能を確認するため、castor変異体に35S::TOPAZを導入して過剰発現させることを試みたが、根粒形成は起こらなかった。そこで、RNAi法によって野生株のTOPAZ遺伝子をノックダウンし、根粒形成への影響を検討することを計画している。