日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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RSOsPR10タンパク質はイネの悪環境に対する耐性付与に関与する
*古川 聡子橋本 誠岡本 龍史寺川 輝彦小松 節子小柴 共一
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p. 809

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抄録
RSOsPR10遺伝子(Root Specific Oryza sativa Pathogenesis-Related 10)は、イネの根において乾燥、塩処理により発現が誘導される遺伝子として単離された。この遺伝子は、既知のイネのストレス応答性タンパク質であるPBZ1遺伝子と高い相同性を示し、乾燥、塩、のほかプロベナゾール、ジャスモン酸処理でも、また、イネいもち病菌の感染によっても根に特異的に発現が誘導される(Hashimoto et al. 2004)。こうしたことからイネ根における防御反応に強く関与している可能性が考えられ、35Sプロモモーター::RSOsPR10を導入した形質転換体イネ(日本晴)の作成に取り組み、葉及び根でRSOsPR10 タンパク質を恒常的に発現するホモの個体を数系統得る事ができた。これら形質転換体の種子および幼植物体を用いてNaClや乾燥に対する耐性を観察したところ、野生型に比べて高い耐性を示す事がわかった。また、弱光下で生育させた時に、野生型に対して草丈、緑色などが増加する傾向が観察された。一方、アンチセンス遺伝子を導入した発現抑制体も同様に作成したが、第3葉が展開できず枯死する系統や、成体になった場合でも稔実率が野生型より低いものが多く見られた。これらの結果は、RSOsPR10遺伝子がイネにおける悪環境への耐性の付与に何らかの役割をしている事を示唆している。
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© 2006 日本植物生理学会
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