日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アラビドプシスの新規カチオン輸送体遺伝子破壊株の機能解析
*上田 晃弘三宅 博
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p. 815

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抄録
塩ストレス下では植物体内に過剰の塩分が蓄積されることによってその生産性が低下する。植物の耐塩性を向上させるためには細胞内へ過剰な塩分を流入させないことが重要である。これまでにアラビドプシスでは塩の輸送に関する遺伝子としてはhktやnhxなどの機能解析が行われてきた。本研究ではアラビドプシスのcation chloride cotransporter (AtCCC)遺伝子のT-DNA破壊株の表現型について調査した。ccc遺伝子は動物では複数コピー見られるがアラビドプシスでは1コピーのみであった。ccc遺伝子はアラビドプシスをK欠乏条件下で生育させると発現量が増加し、Kの添加によりその発現量は対照区と同程度にまで減少した。またNaClストレス処理を行うと、その発現量が減少したことからこれらのイオンの取り込みに機能しているのではないかと考えられた。そこで様々な濃度のKClやNaClストレス条件下での生育を調べたところ、K欠乏条件下でccc変異体では野生株と比較してクロロフィル含量の低下が著しかった。また高濃度のKClやNaCl処理下ではccc変異体では野生株よりも耐性を示し、生育への影響が少なかった。これらのことからccc遺伝子産物はアラビドプシスにおいて外部環境からのKやNaの取り込みに関与しているのでないかと推察された。
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© 2006 日本植物生理学会
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