日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻のSmtAを改変したポリペプチドによる重金属の蓄積および金属選択性
*中岡 美和松本 亘弘西山 佳孝林 秀則
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p. 831

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抄録
ラン藻Synechococcus sp. PCC 7942は重金属ストレスに応答してメタロチオネイン様タンパク質SmtAを発現し、Zn2+やCd2+などをキレートして毒性から回避する。組み換えタンパク質として発現したSmtAでは、N末端側の領域(Met1~Cys47)に2個、C末端側の領域(Gly43~Gly56)に1個のZn2+が結合すると推測されている。smtA遺伝子にそのN末端領域のDNA断片を複数個接続し、これをGSTとの融合タンパク質として大腸菌で発現させ、SmtAの N末端領域が連続的に接続されたポリペプチドを作製した。これらの組み換えタンパク質およびこれを発現する大腸菌について、金属蓄積能および、金属選択性を解析した。
SmtAおよび分子改変したSmtAを発現する大腸菌はZn2+存在下で生育させると、野生株より数倍のZn2+を含んでいた。Zn2+とCd2+の両方を含む培地中で生育させた場合には、菌体内のCd2+のZn2+に対する存在比は培地中よりも明らかに大きくなった。また精製した改変SmtAに結合しているZn2+の80%以上は容易にCd2+に置換された。これらの結果からSmtAの組み換えタンパク質、特に複数のN末端側の領域を接続したものは、Cd2+に対してより高い親和性を持ち、また細胞内における重金属蓄積においてより効果的に機能すると考えられる。
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© 2006 日本植物生理学会
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