日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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酵母の発現スクリーニングによるカドミウム耐性植物遺伝子BBIの単離と発現解析
*士反 伸和堀内 健一佐藤 文彦矢崎 一史
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p. 832

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抄録
土壌の重金属汚染は多くの動物等に重篤な被害をもたらす危険性を有し、特にカドミウムはその高い水溶性と毒性から最も深刻な被害をもたらす汚染重金属の一つとされている。これまでに様々なモデル生物を用いた解析から、カドミウム解毒機構としてphytochelatin等によるキレート化、Yeast Cadmium FactorやCAX2など輸送体による液胞への隔離等が明らかとされてきた。しかしながら、これだけではカドミウム耐性生物の重金属耐性機構を説明するには不十分で、これら以外にも新規な解毒機構が存在すると予想されている。そこで本研究では新規なカドミウム遺伝子の同定を目的として、多様な毒性物質に耐性を示すオウレン培養細胞由来のcDNAライブラリーを作成し、形質転換酵母をカドミウム培地上でスクリーニングを行った。得られたカドミウム耐性遺伝子は二種あり、一方は金属耐性の知られるmetallothionein、もう一方はBowman-Birk Proteinase Inhibitor (CjBBI)をコードしていた。酵母を用いた解析において、CjBBIはカドミウムに加えてニコチンやローダミンといった有機化合物に対しても耐性を付与し、本タンパク質が植物の多剤耐性に関与することが示唆された。その植物体における発現を調べた所、地上部において強いことが明らかとなった。
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© 2006 日本植物生理学会
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