日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

緑藻 Spirogyra の藻類型および陸上植物型Mn-SODの性質と遺伝子構造
*金松 澄雄黒木 大志朗田島 孟紀
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 838

詳細
抄録
緑藻Spirogyra (アオミドロ)は陸上植物の系統進化上の祖先と考えられる藻類に属し、藻類と陸上植物を結ぶ生物である。三種のSODアイソザイムの内、CuZn-SODは大部分の緑藻には存在しないが、Spirogyraの葉緑体には陸上植物と同様、CuZn-SODが含まれる。またSpirogyraは一種類しか持たない陸上植物とは異なり、藻類型と陸上植物型とに区別できる二種のミトコンドリア局在性Mn-SODを含んでいる。本研究では両Mn-SODの関係を明らかにするために、二種のMn-SODのゲノム遺伝子構造とその産物のタンパク化学的性質について検討した。
藻類型Mn-SOD遺伝子(2.9 kbp)は6つのエキソンより構成され、アミノ酸配列上でのイントロン部位は陸上植物型Mn-SOD遺伝子のものとは一致せず、両者のエキソン・イントロン構造は異なっていることが示された。一方、陸上植物型Mn-SOD遺伝子(2.2 kbp)も6つのエキソンを持つが、イントロンの位置はArabidopsisの二つのMn-SOD遺伝子と同一であった。藻類型および陸上植物型Mn-SODの組換えタンパク質を作成してそのサブユニット構造を調べた結果、藻類型Mn-SODは分子量が50.1 kDaのホモ二量体で陸上植物型Mn-SODは79.8 kDaのホモ四量体であることが示された。以上の結果から、藻類型と陸上植物型Mn-SODは遺伝子のエキソン・イントロン構造もタンパクのサブユニット構造も異なっており、両者の分岐はMn-SODの分子進化のかなり早い時期に生じたことが示唆された。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top