日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジャスモン酸による抗酸化物質代謝経路の協調的活性化がシロイヌナズナの酸化ストレス耐性を引き起こす
*関本(佐々木) 結子多木 希大林 武青野 光子松本 史紀櫻井 望鈴木 秀幸平井 優美野路 征昭斎藤 和季増田 建高宮 建一郎柴田 大輔太田 啓之
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p. 837

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抄録
ジャスモン酸(JA)は傷害・病害等の植物のストレス応答に関与するシグナル物質である。JAシグナルはストレス耐性の獲得において重要であるにも関わらず、JAシグナルがどのような機構を介してストレス耐性に寄与しているかは明らかになっていない。本研究では、シロイヌナズナにおいてJAにより制御される代謝経路を同定するために、8384遺伝子を含むcDNAマクロアレイを用いた解析を行った。その結果、JA処理によってアスコルビン酸およびグルタチオン代謝の各ステップを担う遺伝子群が誘導され、アスコルビン酸再生経路の酵素活性の上昇や、これらの抗酸化物質の含量増加が起こることを明らかにした。
抗酸化物質代謝経路は酸化的ストレスに対する防御機構において重要であることが知られている。そこで酸化的ストレスの1種であるオゾン曝露下において、抗酸化物質代謝遺伝子の発現応答を調べた。野生株においては抗酸化物質代謝遺伝子群の発現誘導が見られたが、JA生合成酵素である12-oxo-phytodienoic acid reductaseの欠損した変異体(opr3)では、それらの遺伝子の発現誘導は見られなかった。またopr3では野生株よりオゾン曝露に対する感受性が高まっていた。これらの結果は、JAによる抗酸化物質代謝の協調的活性化が酸化ストレスを伴う種々の環境ストレスへの抵抗性を高めていることを示唆している。
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© 2006 日本植物生理学会
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