日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物におけるADP-リボース代謝の酸化的ストレス耐性能に及ぼす影響
*石川 和也小川 貴央上田 弥生吉村 和也重岡 成
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p. 840

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抄録
これまでに当研究室において、ADP-リボース加水分解活性を有するシロイヌナズナNudix hydrolase (AtNUDX2, 7)の過剰発現により、酸化的ストレス耐性能が向上することを明らかにした。ADP-リボースはDNA修復などに機能するタンパク質のポリ (ADP-リボシル)化反応の分解産物であり、その過剰蓄積は様々な細胞障害の原因となる。しかし、植物におけるポリ (ADP-リボース)代謝とストレス耐性との関連性には不明な点が多く残っている。そこで、シロイヌナズナにおけるポリ (ADP-リボシル)化反応に関わる酵素群および代謝産物のストレス応答性について検討した。
種々のストレス(パラコート、乾燥、塩、強光)に対する応答性について解析した結果、AtNUDX7、ポリ (ADP-リボース)ポリメラーゼおよびポリ (ADP-リボース)グリコヒドロラーゼの転写レベルはすべてのストレス条件下で増加した。さらに、AtNUDX2, 7過剰発現株では野生株と比較して、パラコート処理によるNAD+およびATP量の減少率が抑制されていた。以上より、シロイヌナズナにおけるポリ (ADP-リボシル)化反応はストレス条件下において活性化されており、AtNUDX2, 7はそれにより蓄積したADP-リボースを分解することで、ヌクレオチドのリサイクル (NAD+およびATP量の維持)に機能していることが示唆された。
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© 2006 日本植物生理学会
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