日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの低浸透圧応答性遺伝子ProDHの発現制御に関与する転写因子ATB2サブグループの解析
*佐藤 里絵藤田 泰成中島 一雄篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 843

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抄録
植物が乾燥や塩などのストレスを受けると、プロリンや糖などの適合溶質と呼ばれる物質を細胞内に蓄積し、細胞内の浸透圧調節や生体内物質の保護を行うことが知られている。我々は、シロイヌナズナにおけるプロリン代謝の律速酵素をコードするProDH遺伝子が乾燥後の再吸水や低浸透圧及びプロリンにより発現誘導されること、ProDH遺伝子の低浸透圧及びプロリン応答性シス因子がACTCAT配列であることを示した。また、ACTCAT配列を介してProDH遺伝子を発現制御している転写因子の同定を試みたところ、ACTCAT配列にbZIPタンパク質が結合する可能性が示された。プロトプラストを用いた一過性発現実験から、4つの遺伝子から成るATB2サブグループがACTCAT配列特異的にレポーター遺伝子を活性化し、さらにその活性化は低浸透圧処理により上昇することが示された。細胞内局在性解析の結果、ATB2は核に局在した。よって、ATB2サブグループがProDH遺伝子の低浸透圧応答性発現に関与する転写因子として機能することが示された。今回我々はATB2サブグループを恒常的に発現させた形質転換シロイヌナズナを作出し、解析を行った。これらの植物では、低浸透圧処理なしでProDH遺伝子の発現量の増加が見られた。さらにこれらの形質転換体では、コントロール植物に比べてプロリン含量が減少していた。現在、これら植物のより詳細な解析を行っている。
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© 2006 日本植物生理学会
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