抄録
光合成のクロロフィル代謝系において、クロロフィリドaオキシゲナーゼ(CAO)はクロロフィルaをクロロフィルbに転換する酵素として、重要な役割を果たしている。クロロフィルbの量はCAOタンパク質の蓄積によって制御されていることがわかっている。CAOはA、B、Cの3つのドメインからなる。そのうちAドメインが単独でその制御に関わりさらにその制御はClpプロテアーゼによるCAOの分解によるものであることが、最近の私たちの研究で明らかになった。しかし、Aドメイン内のどの領域がこの制御に関わっているかはまだ明らかにされていない。今回、Aドメイン内の分解に関わる領域を探るために以下の解析を行った。ランダム変異導入法を用いて、Aドメインに変異の入ったCAOを発現させたシロイナズナの変異株を1000株作製した。発現させたCAOには、共焦点顕微鏡での蓄積のスクリーニングを可能にするためにGFPを融合した。1000株の解析の結果、7箇所の制御機構に関わる可能性の高いアミノ酸置換箇所を見つけることができた。次にAドメインのN末端から10アミノ酸残基ずつ削っていき、制御機構に関わるような領域を探した。解析の結果、N末端から50アミノ酸残基削った変異株から過剰な蓄積が見られ、この付近に制御機構に関わる配列があること明らかになった。今回、この配列に関するさらなる解析を報告する。