日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体ストロマタンパク質の分解におけるATG遺伝子に依存したオートファジー機構の関与
*石田 宏幸吉本 光希Reisen Daniel牧野 周大隈 良典Hanson Maureen前 忠彦
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p. 717

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抄録
これまで私たちはコムギ老化葉においてRubiscoやグルタミン合成酵素が小胞RCB(Rubisco-containing body)を介して葉緑体外に放出、分解されている可能性を免疫電顕により見出した。本研究ではストロマにターゲットされるGFPやDsRed(CT-GFP, CT-DsRed)を発現するシロイヌナズナ形質転換体を用いたRCBの生葉における可視化法の確立と、RCBの形成、分解におけるオートファジー機構の関与の可能性について検討した。CT-GFPを発現する形質転換体の葉を飢餓条件下でコンカナマイシンAを加えインキュベートすると、液胞内にGFP蛍光を持つ小胞の蓄積が確認された。抗RBCL及び抗GFP抗体を用いた免疫電顕の観察により、このGFP小胞がRCBであることが確認された。生細胞におけるRCBの蓄積はオートファジー遺伝子欠損変異体Atatg5-1では全く観察されなかった。加えてCT-DsRedとオートファゴソームのマーカーであるGFP-ATG8融合タンパク質を共発現するする形質転換体の葉を同様の条件でインキュベートすると、液胞内に蓄積する小胞においてDsRedとGFPが共局在することが確認された。以上の結果は、ストロマタンパク質のRCBを介した葉緑体外への放出、分解にはATG遺伝子に依存したオートファジーが関与していることを示している。
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© 2007 日本植物生理学会
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