日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑藻のMAPキナーゼ ~植物と鞭毛虫の狭間で~
*柏原 伸悟小澤 美絵宇佐美 昭二藤江 誠山田 隆
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p. 851

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抄録

高等植物では増殖制御、病害応答等にMAPK情報伝達系の関与が示唆されているが、動物、菌類とは異なる進化・関与が示唆されている。シロイヌナズナでは約20種のMAPK相同遺伝子の存在が知られているが、機能未知の遺伝子も多く、植物型MAPK情報伝達系解明にはより単純なモデル植物が必要とされている。
単細胞性緑藻クラミドモナスはEST・ゲノム解析が進んでいることから、MAPK情報伝達系の研究に最適のモデル生物である。我々の研究室ではクラミドモナスからMAPK相同遺伝子CrMPK1,2を分離し、その機能解析を進めてきた。一方、近年になりドラフトゲノム情報(Chlre3)が公開されたことから、MAPK相同遺伝子を検索したところ、CrMPK1,2及びLf4を含むTEY型4種、TDY型4種の存在が明らかとなった。それら塩基配列及び推定アミノ酸配列を元に相同性検索を行った結果、植物特有TDY型MAPKと病原性鞭毛虫類MAPK類似MAPKの存在が示唆された。植物特有TDY型MAPKは病害感染等による発現誘導が知られているものの、その機能は不明のままである。また、クラミドモナスに病原性鞭毛虫類MAPK類似MAPKが存在することは進化的、機能的に大変興味深い。
現在、クラミドモナスの全MAPK相同遺伝子の機能を推定するために、RT-PCRによる発現時期の解析を行っている。

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© 2007 日本植物生理学会
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