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ホスホリパーゼD(PLD)は植物ホルモンや種々の環境ストレスの応答に重要な機能を有していることが知られている。イネにおけるPLDの生理機能を解析するために、組織に発現している8つのPLD遺伝子について、それぞれRNA干渉(RNAi)による遺伝子発現抑制系統を形質転換で確立し、栽培生理試験によりその表現型を解析した結果、OsPLDβ1-RNAi系統が以下のような特性を示すことを発見した。
1)RNAi系統は微生物感染の無い状態でも葉身に自発的にR型の疑似病斑を形成する。
2)RNAi系統は葉身に防御関連遺伝子(PBZ1、Chitinase、RIP2、TLP)を強く発現している。
3)RNAi系統の葉身にはWild typeの約100-200倍の多量の抗菌物質(Momilactone A)が検出される。
以上の結果はOsPLDβ1-RNAi系統が、自然な状態で自発的に過敏感反応を誘導していることを示しており、OsPLDβ1が過敏感反応の誘導を負に制御していることが示唆された。