抄録
植物は病原微生物の攻撃に対する様々な防御機構を備えている。その中でも、感染部位における過敏感細胞死は重要な役割を担っていると考えられている。私たちは液胞プロセシング酵素(VPE)が過敏感細胞死に関与することを報告し、VPEを介した液胞の崩壊が細胞死の引き金となることを示した(1-3)。細胞死の誘導に伴い、液胞崩壊に関わる因子の液胞への輸送が活性化されることが推察される。今回、液胞を中心とした細胞内輸送系が感染防御機構にどのように寄与しているかを明らかにする目的で、細胞内輸送系に異常を示すシロイヌナズナ変異体を用いて過敏感細胞死への影響を調べた。その結果、katamari2(kam2)変異体において、Pseudomonas syringae DC3000 (avrRpm1)の感染で誘導される過敏感細胞死が抑制され、抵抗性が弱まることがわかった。KAM2はエンドソームから液胞への小胞輸送に関与するため(4)、過敏感細胞死における細胞内輸送系の関与が強く示唆された。
(1) Hatsugai et al. (2004) Science, 305, 855.
(2) Hara-Nishimura et al. (2005) Current Opinion Plant Biol., 8, 404.
(3) Hatsugai et al. (2006) Apoptosis 11, 905.
(4) Tamura et al. (2006) Plant Cell, 18, in press.