日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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伴細胞―篩要素複合体間の二次原形質連絡の分子構築機構
*西田 生郎矢野 亮一伊藤 利章松本 光生藤川 清三
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p. 0068

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抄録
植物細胞には、原形質連絡(プラズモデスマータ; PD)と呼ばれる細胞壁を貫通する穿孔構造が存在し、栄養物質、情報物質、生体高分子、ウイルスなどの透過を制御している。PDには、細胞分裂の細胞板形成時に形成される一次原形質連絡と、細胞分裂後に隣接する細胞間で新規に形成される二次原形質連絡(2˚-PD)とがある。前者は単純な直線型構造であるのに対し、後者は分岐を持った複雑な形状をとる。2˚-PDは葉のソース化に伴い葉脈篩部の伴細胞(CC)-篩要素(SE)間の細胞壁に形成されることが知られているが、その形成過程に関する分子的知見はほとんどない。
我々は、シロイヌナズナにおいて、ロゼットの成熟葉特異的に糖を蓄積し、耐凍性を向上させる変異株rsx1(restricted sucrose export1)を報告している(植物生理学会、2005)。RSX1はシロイヌナズナに27個存在するペクチンリアーゼ様遺伝子のひとつで、葉のソース化に伴い葉脈(篩部のCCおよびその近傍の篩部柔細胞、維管束鞘細胞)で発現した。rsx1変異株の篩管では、CC側からSE方向に細胞壁の中葉部までしか発達していない2°-PDが観察された。細胞壁の中葉部にはペクチン層が存在し、細胞接着の役割を果たしている。RSX1は葉のソース化に伴い、CC-SE間のペクチン層を穿孔し、2˚-PDの形成に直接的に関与すると考えられる
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© 2008 日本植物生理学会
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