日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの第8染色体に検出された窒素利用を支配しているQTLの高精度連鎖解析
*田村 亘小原 実広蛯谷 武志矢野 昌裕佐藤 雅志山谷 知行
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p. 0292

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抄録
イネは、土壌中の窒素を根で吸収、同化し、各器官に輸送後、様々な代謝を行っているが、窒素利用の制御に関する詳細は、未だ解明されていない。イネの根の伸長は、窒素の供給量に応じて変化する。窒素利用の制御に関わる遺伝子を同定するため、イネの根長を窒素利用の指標として用い、イネの根長を支配しているQTLのマッピングを行った。Koshihikari及びKasalathに由来する染色体断片置換系統群(CSSLs)を用いて、第8染色体の長腕側に、5 μM NH4+濃度において根長を支配しているQTLを検出した。このQTLがKasalath型であるSL-225と遺伝背景のKoshihikariを、5-1000 μM NH4+濃度で栽培したところ、すべての濃度区においてSL-225の根長はKoshihikariよりも有意に増加していた。また、各個体の窒素吸収量を測定したところ、50 μM NH4+濃度区において、SL-225の窒素吸収量はKoshihikariよりも減少していた。この結果から、このQTLが特定のNH4+濃度域において窒素利用の重要な役割を担っていることが考えられた。そこで、QTL原因遺伝子の同定を目的として、SL-225をKoshihikariに戻し交配し、F2、F3世代を獲得した。これらを用いて、少なくとも2つのQTL原因遺伝子の存在を確認し、効果の強いQTL原因遺伝子を、第8染色体長腕の7 cMの領域に絞り込んだ。更に原因遺伝子を絞り込むために、染色体組換え系統の選抜を行った。現在、獲得した系統を用いて高精度連鎖解析を行っている。
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© 2008 日本植物生理学会
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