抄録
KAT1は孔辺細胞や維管束組織に発現するK+チャネルであり、リン酸化によってK+透過の制御機構を調節している可能性が考えられている。KAT1の細胞質側には、Protein Kinase Cでリン酸化される可能性のある12カ所のSer/Thrが存在する。このSer/ThrをAlaまたはAspに置換した変異体を作製し、アフリカツメガエルの卵母細胞に発現させ、two-electrode voltage clamp 法を用いたK+電流の測定による電気生理学的解析を行った。卵母細胞のPKCを活性化した後の電流値の変化を野生型のチャネルと変異型チャネルで比較した。これまで、そのうち3つのアミノ酸がK+チャネル輸送活性に影響を与えることを報告した。12個のアミノ酸のうち、残りのアミノ酸においてSer/ThrをAla又はAspに置換した変異体を作製し、アフリカツメガエルの卵母細胞に発現させ、K+電流の測定を行った。その結果、数個のアミノ酸のK+電流変化率が野生型と比較して変化した。KAT1の細胞質側に存在するC末端領域のペプチドを作製し、大腸菌から精製したシロイヌナズナのリン酸化酵素を用いてリン酸化の検出を行ったところKAT1ペプチドのリン酸化が確認された。KAT1輸送活性の調節に関与するアミノ酸のリン酸化による、チャネル活性調節について考察する。