日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

突然変異体を用いた単面葉発生機構の遺伝学的解析
*山口 貴大塚谷 裕一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0001

詳細
抄録

単面葉とは,葉身が一般的な葉(両面葉)の背軸面に相当する組織だけで構成される,背腹性を持たない葉のことである.興味深い事に,このような葉を持つ植物は,単子葉植物で何度も繰り返し進化している.また,一般に葉身の平面成長は,葉の向背軸の境界部で促進されると考えられているが,単面葉を持つ多くの植物においても,独自の平面成長機構により,平らな葉が形成される.我々は,この単面葉における葉身の背軸側化機構および葉身の平面成長機構を解明するために,イグサ属植物のコウガイゼキショウ(Juncus prismatocarpus)をモデルとして研究を進めており,現在までに,遺伝子発現解析や,近縁種間の比較分子遺伝学的解析などを行い,その発生制御に深く関与すると考えられる,主要な遺伝子候補群を同定してきた.
今回,未知の因子を同定し,さらに単面葉の発生機構を遺伝学的に解明するために,コウガイゼキショウにおける突然変異体の単離系を構築し,発生遺伝学的解析を試みた.まず,効率的な突然変異体単離のための変異源処理条件を確立し,現在までに,葉鞘が向軸側化する変異体,葉身の平面成長性に異常をしめす変異体など,複数の興味深い変異体を単離する事に成功している.本報告では,これらの変異体を用いた発生遺伝学的解析と,これまで得られた分子遺伝学的知見を統合し,単面葉の発生進化機構を議論する.

著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
次の記事
feedback
Top