抄録
リボソームタンパク質の欠損変異株や、リボソーム合成に関わるタンパク質の欠損異株は、しばしば、葉が菱形に尖るという特徴的な表現型を示す。我々はこれまでに、20系統以上の葉が尖る突然変異株を単離し、その表現型解析を進めてきた。その過程で、これらの変異株の幾つかが、軽微な向軸側の欠損を示すasymmetric leaves1 (as1)/as2変異株の表現型を強く促進することを見いだした。これに関連した解析をさらに進めたところ、葉が尖る突然変異株の全てが、背腹性異常を促進する訳ではないことが明らかになった。また、背腹性異常の促進効果にも強弱が認められた。そこで、向背軸異常の促進効果の違いが生じる原因を明らかにするために、これらの突然変異株における変異部位の特定を進めた。その結果、表現型の促進効果を示すものは、リボソームの60Sサブユニットの構成因子やリボソームの生合成に関わる因子の欠損変異であることが明らかになった。表現型の促進効果が認められないものについては、原因遺伝子のクローニングを進めている。これらの結果を踏まえ、葉の背腹性の制御に関わる遺伝子の、リボソームを介した特異的発現制御機構に関して議論する。