日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ葉原基での向背軸境界は背軸側特異的なmiR165/166の機能によって形成される
*立松 圭渡辺 恵郎豊倉 浩一岡田 清孝
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p. 0003

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抄録
葉の向軸側・背軸側それぞれに必要な生長制御因子が局在することで、その正常な発生・分化が起こる。しかしながら、葉原基での向背軸領域の境界決定機構は不明なままである。本研究ではシロイヌナズナを用い、向軸側鍵因子PHBPHBの発現抑制に関わるmiR165/166、背軸側鍵因子FILに着目し、その境界決定機構を解析した。まず始めに、プロモーター・蛍光タンパク質の融合遺伝子を導入した形質転換体を用いてPHBFILの発現様式を調べたところ、PHBの発現が背軸側の一部で見られ、両者の発現領域が部分的に重なっていた。一方、miR165/166によって発現抑制を受けるGFPを強制発現させると、そのGFP蛍光は向軸側に見られ、FILの発現領域とは完全に分離する。そこで、レーザーマイクロダイセクション法と半定量的RT-PCR法を用いてmiR165/166の局在を調べた。葉原基の向軸側・背軸側それぞれを切り出したサンプルからRNAを抽出し、ゲノム上に9つあるpre-miR165/166の発現を調べた。その結果、6つの遺伝子座が背軸側でのみ発現していた。以上の結果から、葉原基の背軸側でmiR165/166が特異的に発現することで、そこでの不要なPHBの発現が抑制され、向背軸境界が形成される事が示された。また背軸側におけるPHBの発現抑制機構についても議論する予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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