日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ENF2 遺伝子による FIL 遺伝子の発現制御機構の解析
*為重 才覚豊倉 浩一槻木 竜二岡田 清孝
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p. 0005

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抄録
多くの植物の葉では、柵状組織と海綿状組織など、向軸側(表側)と背軸側(裏側)で異なる細胞分化が見られる。このような細胞分化が起こるのは、向軸側または背軸側の領域でのみ発現する遺伝子が、それぞれの細胞分化を促すためだと考えられている。しかし、これら遺伝子の発現領域がどのように決定されるのかはあまりわかっていない。
我々は背軸側だけで発現する遺伝子の一つ FILAMENTOUS FLOWER (FIL)の発現領域を決定する機構を明らかにするため、分子遺伝学的な解析を行っている。我々が単離した新規突然変異体 enlarged fil expression domain2 (enf2)は FIL の発現領域が野生型よりも広くなることから、その原因遺伝子 ENF2FIL の発現領域を狭くする機能を持つと考えられた。
しかし FIL の発現パターンをより詳しく解析すると、葉の発生の極初期においては、野生型と enf2 変異体の間で FIL の発現領域に差はなく、ともに葉原基の大部分に及んでいることがわかった。つまり ENF2 遺伝子は、発生の進行に伴って FIL の発現領域を次第に狭めてゆく機能を持つと考えられた。
現在、野生型における FIL 発現領域の変化を経時的に解析するとともに、その過程が ENF2 遺伝子によってどのように制御されているのかを明らかにしようとしている。
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© 2009 日本植物生理学会
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