日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの葉の発生分化に関わるAS1AS2が制御する複数の遺伝子経路の解析
*岩川 秀和高橋 広夫岩崎 まゆみMazet Rémi小島 晶子上野 宜久池崎 仁弥小林 猛町田 泰則町田 千代子
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p. 0007

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抄録
植物の葉は茎頂メリステムから発生し、基部先端部軸、向背軸、中央側方軸に沿って成長する扁平で左右相称的な器官である。シロイヌナズナのasymmetric leaves1 (as1)とas2変異体はこの三つの軸すべてに異常を示し、葉身の左右非対称的な切れ込みや上偏成長、弱い背軸側化、基部先端部軸方向の成長抑制が認められる。我々はこれまでに、マイクロアレイとクラスタリングを行い、AS1AS2の下流因子を網羅的に調べた。クラスタリングを行うにあたって、知識ベースに基づいた新規クラスタリング手法KB-FuzzyARTを開発した。解析の結果、AS1AS2はclass 1 KNOX遺伝子であるBP, KNAT2, KNAT6の発現を抑制しているだけでなく、葉の背軸側因子であるETTIN (ETT), YABBY5 (YAB5)の発現も抑制していることを報告した。これら因子の遺伝的な関係を明らかにするため、as2 bp knat2 knat6四重変異体やas2 ett arf4三重変異体におけるBP, ETT, YAB5の発現レベルをreal-time PCRで調べた。その結果、AS1AS2BP, ETT, YAB5を独立に抑制していることを示唆するデータを得た。AS1AS2は複数の遺伝子経路を抑制することによって、扁平で左右相称的な葉の形成に関わっていることが考えられる。
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© 2009 日本植物生理学会
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