日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ダブルAPETALA2ドメイン転写因子をコードするシロイヌナズナCHO1遺伝子は種子吸水過程におけるアブシジン酸を介したジベレリン代謝調節に関与する
*矢野 亮一菅野 裕理軸丸 裕介神谷 勇治南原 英司
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0014

詳細
抄録

種子休眠性は植物体の生長に不適な環境での発芽を抑制し、繁殖の可能性を高めるための植物の重要な適応形質の一つである。種子の休眠と発芽には、拮抗的な作用を持つ植物ホルモン・アブシジン酸(abscisic acid: ABA)とジベレリン(gibberellin: GA)が深く関与する。前回我々は、2つのAPETALA2ドメインを持つ転写因子をコードするシロイヌナズナCHO1遺伝子(At5g57390)の変異が、種子発芽におけるABA感受性の低下の他、種子休眠性の低下をもたらすことを報告した。野生型の休眠性は種子採取後に乾燥保存(後熟)を経ると低下するが、cho1種子ではより短期間の後熟によって休眠性が喪失する。逆に、CHO1を過剰発現した形質転換種子では、長期の後熟を経てもABAに高感受性を示す。異なる後熟期間を経た種子を用いた遺伝子発現解析では、cho1種子の休眠性の低下は、吸水過程におけるGA生合成遺伝子、ABA異化代謝遺伝子の発現レベルの上昇と、ABA生合成遺伝子の発現レベルの低下と相関していた。また、これと一致してcho1吸水種子では、後熟を経ないでも、野生型に比べて内生GA4レベルが上昇しABAレベルが低下していた。今回はこれらの結果を踏まえ、ABAを過剰蓄積するcyp707a2変異体、ならびにGAを欠損するga1-3変異体バックグラウンドにおける解析結果を報告する。

著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top