抄録
高温による種子発芽の抑制(高温阻害)は、冬生1年生草本種子が生育に適切な秋に発芽することを可能としている。高温阻害の分子機構を理解するため、これまでに高温阻害に耐性を示すシロイヌナズナの突然変異、および発芽可能な上限温度で発芽しない突然変異を選抜し、解析してきた。ここでは、コロンビア系統種子の高温阻害を緩和する化合物および発芽可能な上限温度(28℃)で発芽を抑制する化合物を選抜した。また、高温耐性発芽突然変異、trg1種子の32℃における発芽を抑制する化合物の選抜も行った。おもしろいことに、28℃における発芽を抑制する化合物は、22℃での発芽を抑制しなかった。また、このほとんどはtrg1種子の高温耐性発芽を抑制せず、trg1種子の高温耐性発芽を抑制する化合物のほとんどは野生型種子の発芽を抑制しなかった。これらのヒット化合物は、発芽の高温阻害機構の理解に有用であると共に、作物種子の発芽を制御する薬剤の開発に利用できると期待される。