日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ゼニゴケにおけるアクチン繊維のユニークな動き
*惠良 厚子海老根 一生石崎 公庸富永 基樹齊藤 知恵子大和 勝幸中野 明彦河内 孝之上田 貴志
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p. 0027

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抄録

アクチン繊維は,オルガネラの動きや細胞の形態形成等に関わる重要な構造である。例えば原形質流動はアクチン-ミオシン系に依存して起こっている。一方,苔類ゼニゴケの細胞では明瞭な原形質流動が観察されない。我々は,ゼニゴケのアクチン繊維がどのように組織されているのかを明らかにするため,Lifeact-Venusを用いてアクチン繊維の可視化を試みた。その結果,束化されたアクチン繊維が非常にダイナミックに運動していること、その運動がミオシンに依存し微小管に依存しないことなどが明らかとなった。一般に,アクチン繊維はオルガネラに結合したミオシンがその上を移動するためのレールとして認識されている。しかしゼニゴケにおいては,アクチン繊維があたかもオルガネラ上に存在するミオシン分子上を滑り運動しているかのように観察された。その他にも,アクチン繊維束が解離し枝分かれする様子や,合流する様子も観察された。
プローブとして使用したLifeactは,酵母のAbp140タンパク質に由来する17アミノ酸のアクチン結合ペプチドであり,動物細胞のアクチン繊維の動態観察における強力なツールとして報告されたものである。今回の研究により,植物細胞においてもその使用が可能であることが示された。本プローブの特徴と植物のアクチン解析における有用性等についても議論したい。

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© 2009 日本植物生理学会
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