抄録
我々は、タバコ培養細胞BY-2をカバーガラスに貼り付けて遠心すると、通常は細胞長軸に対して垂直に並んでいた表層微小管がランダムな配向へと変化すること、さらにランダムな配向はしばらくすると回復することを見出した。本研究ではGFP-tubulin発現株であるタバコ培養細胞BY-GT16を用いた。ランダムへの配向変化はGd3+によって阻害されることから、伸展活性化チャネルの関与が示唆された。ガラスとの接着の影響を調べるため、パーコール中に細胞を浮かべて遠心すると表層微小管の配向は変化せず、その配向変化は遠心により細胞がガラスとに接着面で引っ張られるストレスを受け、それにより伸展活性化チャネルが開くことによるものであると考えられた。
また、Taxol存在下ではランダムへの配向変化は阻害されたが、ランダムな配向からの回復は阻害されなかった。このことから、ランダムな配向からの回復には重合・脱重合のdynamicsは関与していないことが示唆された。
本研究の系は表層微小管の構築制御機構の解析に有効と考えられる。ランダムへの配向変化と配向の回復について、リン酸化や脱リン酸化、アクチン等の関与について解析を進めており、その結果を報告する。