日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

無機炭素濃縮に必要であるLCIBはピレノイド周囲でLCICと複合体を形成して機能する
*山野 隆志辻川 友紀中野 博文福澤 秀哉
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0055

詳細
抄録
水生光合成生物であるクラミドモナスは環境中のCO2濃度が低下すると無機炭素濃縮機構(CCM)を誘導し、低CO2ストレスに順化する。これまでにLciB遺伝子がCCM誘導時に強く発現誘導され(Yamano et al., Plant Physiol.2008)、LciB欠失変異株では無機炭素輸送能が減少する事が報告されているが (Wang and Spalding, PNAS 2006)、膜貫通構造や既知の輸送体と相同性を持たないLCIBタンパク質がどのように無機炭素輸送に関わるのかについては明らかでない。我々は前年会において、LCIBがピレノイド構造の周囲に局在することを報告した。水生光合成生物の葉緑体内に観察されるピレノイドは、Rubiscoが集合した炭酸固定の場であることから、LCIBは無機炭素のRubiscoへの輸送過程に関わると推測されている。本発表では,このLCIBが環境中のCO2濃度と光に依存して局在が変化することを見出したので報告する。低CO2条件においてLCIBはピレノイド周囲に局在するが、CCMが抑制される高CO2条件下や暗黒下では葉緑体内に拡散した。またLCIBは、アミノ酸配列が類似するLCICとin vivoで相互作用し、分子質量が約350 kDaの高分子複合体を形成した。細胞内局在性からLCIB/LCIC複合体の機能について議論したい。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top