日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechococcus elongatus PCC7942におけるRpoD4の機能の解析
*佐藤 順通大石 拓実前田 真一小俣 達男愛知 真木子
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p. 0056

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抄録
ラン藻は窒素含有量が高く,その獲得と同化に多くのエネルギーを使用している.窒素源の変動に対する遺伝子発現の応答は,ラン藻の環境適応の中でも主要な位置を占めており,窒素の獲得や代謝に関与する数多くの遺伝子が転写制御因子NtcAによって窒素栄養条件に応答して制御される.ラン藻 Synechococcus elongatus PCC 7942では,グループ2シグマ因子として6遺伝子の存在が確認されているが,われわれは,このうちRpoD4が窒素欠乏により誘導されることを見いだした.また,窒素欠乏に応答したrpoD4の誘導量は,野生株に比べてntcA欠失株で半分程度に減少していたため,RpoD4の誘導にはNtcAが一部関与していると判断した.次に,RpoD4の機能を解析するため,欠失株の表現型を調べたところ,フィコビリソームの分解に関与するnblAの発現量が,rpoD4変異株では野生株の50%以下に低下していた.その結果,野生株で観察されるような窒素欠乏に応答した細胞の黄化が見られなかった.また窒素栄養に関わらず,細胞分裂関連遺伝子の発現量に異常が見られ,細胞長が野生株に比べて10倍程度長くなった.RpoD4は,窒素応答における役割と,細胞分裂のように恒常的な機能の制御との両面で機能している.
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© 2009 日本植物生理学会
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