日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナタイリングアレイを用いた乾燥・低温・塩ストレス・ABA処理条件下での全ゲノムトランスクリプトーム解析
*松井 章浩石田 順子諸沢 妙子神沼 英里遠藤 高帆岡本 昌憲南原 英司川嶋 真紀子金 鍾明望月 芳樹小林 紀郎豊田 哲郎篠崎 一雄関 原明
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p. 0067

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抄録
植物には移動の自由がないため、乾燥・低温・塩などの環境ストレスに対して適応する能力を持っている。私たちは新規RNAの探索・機能解析を目指して、タイリングアレイを用いてシロイヌナズナの全ゲノムトランスクリプトーム解析を行った。
乾燥、低温、塩などのストレスやABA処理したサンプルを用いて発現解析を行い、AGIコードを持つ遺伝子以外に新規の転写単位を7,719個同定した。この内、発現誘導されるものは1,275個、また発現抑制されるものは181個存在した。これらの新規RNAの大半は既知のタンパク質をコードしないものであり、約9割はAGIコード遺伝子の反対鎖にマップされていた。興味深い事に新規転写単位とアンチセンス鎖に存在するAGIコード遺伝子の発現応答性の間に高い相関性が存在する事が明らかになった。更にABA誘導性のCYP707A1遺伝子領域に存在するアンチセンスRNAについて解析を行い、1)アンチセンスRNAは上流に存在するプロモーターに依存して生成したものでない事、2)アンチセンスRNAの発現にセンスRNAの発現が必要な事、3)アンチセンスRNAの塩基配列がセンスRNAと相補的である事を明らかにした。現在、ストレス誘導性アンチセンスRNAの生成メカニズムと機能の解析を進めている。
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© 2009 日本植物生理学会
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