日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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マイクロ流路を用いたラン藻の高浸透圧ストレスに対する適応機構のリアルタイム観察
*四十九 俊彰飯塚 龍松本 秀之新井 史人魚住 信之
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p. 0077

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抄録
<研究背景>生物は外環境の変化に対して様々な適応機構を有している。高浸透圧環境では細胞は脱水を起こし、それに対する適応が起こらなければ細胞は死に至る。微生物の高浸透圧ストレス適応は2相性であることが知られている。私たちはラン藻Synechocystis sp. PCC6803の第1相で機能するKtr系K輸送体を明らかにした。しかし、この適応機構の全容は不明な点が多い。これまでラン藻の高浸透圧ストレス適応機構の研究では細胞の増殖速度・生存率や間接的な細胞容積測定が行れてきた。これらは細胞を集団として捉えるマクロな解析である。本研究ではマイクロ流路を用いて細胞を直接観察する測定系を構築し、ミクロな解析を行った。
<結果・考察>シリコン樹脂で作製したマイクロ流路にグラス上にパタニングした水溶性感光樹脂の囲いを組み合わせ、ラン藻を長時間囲いの中に保持しつつ細胞外溶液を速やかに置換できるマイクロ流路を構築した。Synechocystis野生株に浸透圧ストレスを与え細胞の収縮・回復を観察した。結果、高浸透圧条件にさらされた直後から細胞の収縮が起こった。その後、すばやい細胞容積の回復とその後の緩やかな回復の2相性の回復が見られた。更にこのマイクロ流路を用いて高浸透圧適応への関与が示されているK輸送体の遺伝子破壊株で同様の観察を行い細胞容積の回復とK輸送体の機能について詳細に検討した。
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© 2009 日本植物生理学会
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