日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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側根の分布を調節するシロイヌナズナPUCHI遺伝子の解析
*池山 芳史廣田 敦子加藤 壮英田坂 昌生
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p. 0099

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抄録
高等植物の根系構築には胚発生以降の側根形成が重要な役割を果たす。個々の側根形成に関わる因子は数多く解析されてきたが、側根の分布に関わる因子はほとんど解っていない。最近我々が解析した側根基部が形態異常を示すpuchi変異体は野生型より多くの側根を形成する。側根の分布の調節機構を明らかにする目的でこの変異株を用いた研究を行った。PUCHIの発現パターンをpPUCHI::GFPを用いて解析したところ、GFPを発現した領域の多くは側根を形成したが、一部は発現したシグナルが消失し側根形成が見られなかった。側根形成にはオーキシンが必要であり、PUCHIもオーキシンによって発現誘導される。また、PUCHIは側根形成初期の細胞分裂に先立って発現する。そこで、オーキシン応答性マーカーDR5::GFPと、細胞周期のG2/M期マーカーpCycllinB1;1::GFPを用いて、側根開始部位とこれらのマーカーの発現部位を対応して調べた。その結果、DR5pPUCHIでは約50%、pCyclinB1では約10%の発現領域で側根が形成されずシグナルが消失した。一方、puchi変異体におけるpPUCHI::GFPの発現部位のほとんどは側根を形成した。以上より、オーキシン局在領域のすべてが細胞分裂を開始して側根を形成する訳ではなく、PUCHIがこの発生の進行過程を負に制御していることが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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