日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

葉メリステムにおけるBLADE-ON-PETIOLELEAFY PETIOLEの役割
*市橋 泰範堀口 吾朗塚谷 裕一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0104

詳細
抄録
葉は葉身と葉柄から構成されるが、両者を包括した形での形態形成の理解は乏しい。これまでに我々は、葉身と葉柄の器官形成を詳細に観察することで、葉身及び葉柄形成における共通の分裂組織、葉メリステムの存在を見いだしている。葉メリステムとはすなわち、葉身と葉柄の予定境界領域に存在し、葉原基の先端と基部両方向に細胞を供給する分裂組織である。そこで、この葉メリステムの働きに着目し、BLADE-ON-PETIOLEBOP)の機能欠損型変異体(bop1bop2)及びLEAFY PETIOLELEP)過剰発現体の再評価を行った。 マーカー遺伝子を用いた組織学的解析により、bop1bop2の葉は、葉身のみで構成されていることが明らかになり、この表現型は葉メリステムの時空間的変化に起因することがわかった。また、LEP過剰発現体の葉では、葉柄が正常に形成されるものの、その成長が抑制され、一方で葉身の成長が促進されていることが明らかになった。この表現型は葉メリステムからの細胞供給バランスの変化に起因することが示唆される。以上から、BOPLEPは葉メリステムの時空間的制御及び細胞供給にそれぞれ関与していることが示唆された。現在では、これらの因子の葉メリステムにおける詳細な機能を明らかにするため、上記変異体とその他の葉形態形成変異体との遺伝学的解析等を進めており、本発表ではその結果についても考察する。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top