日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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fugu2変異株を用いた補償作用の分子機構解明のための網羅的発現解析
*久永 哲也Ferjani Ali堀口 吾朗石川 直子久保 稔出村 拓福田 裕穂塚谷 裕一
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p. 0105

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抄録
補償作用とは、何らかの遺伝的変異によって葉の細胞数が減少すると、個々の細胞サイズが増加する現象である。この現象は器官形成における細胞増殖と細胞伸長の相互作用を理解するために重要である。我々はこれまでに、補償作用を示すfugu変異株を5系統単離、解析し、報告してきた(Ferjani et al., 2007, Plant Physiol.)。今回はfugu2変異体について報告する。クローニングの結果、FUGU2はクロマチンアセンブリファクター-1 のp150サブユニットをコードするFASCIATA1であることが判明した。補償作用の分子機構を解明するために、fugu2-1の播種後10日目の第1,2葉原基から抽出したmRNAを用いてマイクロアレイ解析を行い、発現が3倍以上変動している遺伝子を選抜した。その結果fugu2では、72の遺伝子の発現が誘導され、127の遺伝子の発現が抑制されている可能性が示唆された。これらの発現変動をより詳細に検討するために、RT-PCRを用いて再確認したところ、fugu2では46の遺伝子の発現が誘導され、39の遺伝子の発現が抑制されていることが確かめられた。中でも発現の誘導された遺伝子のうち11はDNAの複製や修復に関わるものだった。現在、発現の変化が認められた遺伝子と補償作用との関連を明らかにするため、T-DNA挿入系統を用いた解析を進行中である。
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© 2009 日本植物生理学会
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