日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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胚発生過程におけるCDK活性化キナーゼ群の機能分化に関する研究
*高塚 大知梅田 正明
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p. 0128

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抄録
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)が最大活性を持つにはTループと呼ばれる領域の保存されたスレオニン残基がリン酸化される必要がある。このリン酸化を行うのがCDK活性化キナーゼ(CAK)であり、シロイヌナズナのゲノム中にはCDKD;1, CDKD;2, CDKD;3およびCDKF;1の計4種類のCAKがコードされている。これまでに我々は、in vitroで最も高いCAK活性を示すCDKF;1のノックアウト変異体が発芽後に重篤な成長阻害を示す一方、胚発生は正常に進行することを明らかにしてきた。対照的に、CDKF;1と並んで高いCAK活性を有するCDKD;3と、CDKD;3に最も近縁なCDKD;1の二重変異体を作出したところ、この変異体は胚発生段階で致死であった。この結果から、胚発生においてはCDKD;1,とCDKD;3が重要な役割を担っている可能性が示唆された。このように植物では他生物には無い発生段階に応じたCAKの機能分化が見られると考えられる。
そこで、まずCDKD;3とCDKF;1の胚発生時の発現パターンを比較したところ、CDKD;3はCDKF;1に比べ総じて発現量が高く、CDKF;1では見られない胚乳での発現も観察された。現在、他のCAKも含めて詳細な発現解析を行っているので、CAKの機能分化と時空間的な発現制御の関連性について考察したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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