日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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極長鎖脂肪酸合成を介したシロイヌナズナの器官形成制御機構
*信澤 岳草野 都岡咲 洋三斉藤 和季奥島 葉子梅田 正明
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p. 0127

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抄録
高等植物における地上部の形態形成は,茎頂分裂組織の制御と深く関わっている.我々は,組織レベルでの細胞分裂と形態形成の制御の仕組みを解明するために,異所的に細胞分裂が亢進するシロイヌナズナの変異体,pasticcino2 (pas2)に着目して解析を進めてきた.pas2変異体では,細胞分裂の亢進の他,表皮形成の異常や,茎頂分裂組織の髄上部の拡大が観察された.最近の研究によって,PAS2は極長鎖脂肪酸の合成酵素をコードしていることが示されたが,細胞分裂と形態形成の制御における役割については明らかにされていない.我々は,PAS2が表皮で特に強く発現することを見出した.また,表皮特異的な発現を誘導するAtML1のプロモーターを用いた解析から,表皮におけるPAS2の発現が正常な生育に必須であることが明らかになった.しかし,pas2変異体で認められる表現型は,表皮形成の異常のみならず,分裂組織や器官の内側の細胞層にまで及んでいたことから,表皮における極長鎖脂肪酸の合成が内側の細胞層の分裂・分化状態を制御する仕組みがあると考えられる.今回,極長鎖脂肪酸合成を阻害する薬剤を用いて詳細な表現型解析を行ったので,その結果も合わせて報告する.
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© 2009 日本植物生理学会
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