日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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rRNAプロセッシングに関わるシロイヌナズナの新規核小体因子RID2の解析
*大林 祝杉山 宗隆
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p. 0139

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抄録
胚軸片からの不定根形成の温度感受性を指標として単離されたシロイヌナズナの変異体rid2は、カルス形成初期段階に関しても強い温度感受性を示し、脱分化・細胞増殖再活性化の分子機構を探る糸口になると期待される。この変異体は、細胞構造レベルでは核小体キャビティーの拡大という特徴的な異常を示し、この点でも興味深い。私たちはRID2と核小体との関係に注目し、核小体の主要機能であるrRNAのプロセッシングについて解析を行った。その結果、変異体ではプロセッシング各段階の中間体が異常に蓄積していることが明らかになった。RID2は核局在シグナルをもつメチルトランスフェラーゼ様タンパク質をコードしているが、RID2:GFPを用いた解析から、RID2タンパク質はとくに核小体に蓄積することが示された。これらより、RID2の機能はrRNAプロセッシングの進行全体に必要であり、その破綻に敏感な分子事象が脱分化・細胞増殖再活性化に関与していると考えられる。一方で遺伝学的にRID2の作用機作に迫るために、rid2の抑圧変異体sriw1を単離して、研究を進めている。染色体マッピングに基づくこれまでの解析では、sriw1変異と考えられる塩基置換がAt5g09330内に見出されている。At5g09330は、NACドメインをもつ転写因子をコードしている。本発表では、このSRIW1候補遺伝子についても併せて報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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