日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物特異的なMCD1はシアノバクテリア由来のMinDと相互作用して葉緑体分裂面を決定する
*中西 弘充鈴木 健二壁谷 如洋宮城島 進也
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p. 0142

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抄録
葉緑体はシアノバクテリアの細胞内共生を起源とし、その分裂にはシアノバクテリアの細胞分裂装置に由来するFtsZリングの形成が必要である。葉緑体のFtsZリングは、バクテリアと同様にMinDおよびMinEタンパク質によって位置決定される。さらに葉緑体の分裂には、シアノバクテリアに由来する原核型の分裂装置だけでなく、宿主細胞に由来する真核型の分裂装置が必要であることがこれまでに示されてきた。我々は、新たに植物特異的なFtsZリングの位置決定に必要なタンパク質、MULTIPLE CHLOROPLAST DIVISION SITE 1 (MCD1)を同定したのでこれを報告する。MCD1は葉緑体内包膜貫通タンパク質で、葉緑体の分裂面にリング状および表面に点状に局在する。間接蛍光抗体法でMinDの局在を観察したところ、MCD1と同様に分裂面および表面に局在することがわかった。MCD1を欠損するとMinDが分裂面に局在できないことから、MinDの局在にはMCD1が必要であると考えられた。Yeast two-hybrid assayの結果、MCD1とMinDが直接相互作用することが分かった。これらの結果は、葉緑体分裂面の位置決定メカニズムにおいて、バクテリアに由来するMinシステムを調節するための新しいタンパク質を、宿主植物細胞が付け加えたことを示唆する。
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© 2009 日本植物生理学会
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