抄録
本研究では、エンドリデュプリケーションの制御機構を明らかにする目的で、芽生えの段階で発達が停止し矮小化する変異株であるsd5の解析を行った。しかし、sd5では核相の変化というより、むしろ細胞数の減少が矮化を引き起こしていた。細胞増殖の分子マーカーであるCYCB1;1の発現も抑制されていることから、SD5は細胞増殖の正の制御因子であることが考えられる。
SD5は、分裂酵母のU5スプライセオソームのサブユニットであるDIM1ホモログをコードしている。Y2Hの解析から、SD5が他のU5スプライセオソームのサブユニットであるPrp6と相互作用したことから、U5スプライセオソームの構成因子として働くことが推測される。
分裂酵母のDIM1変異株を用いた相補実験では、SD5はdim1-35変異を相補できなかった。しかし、もう一方のDIM1ホモログでは相補できたことから、SD5は酵母DIM1のオーソログではないことが考えられる。さらに、シロイヌナズナのDIM1を用いた場合、sd5-2変異を相補出来ていない。以上の結果から、SD5はDIM1オーソログとは異なるmRNAのスプライシングを促進するのではないかと推察している。
本発表では、シロイヌナズナのDIM1ホモログであるSD5がスプライシングを介して、細胞増殖を制御する機構について議論したい。